僕が一番好きなインターネットのキャラクターは、巨頭オでもS県月宮でもモナーでもハンバーガーちゃんでもなく、ワザップジョルノです。
ワザップジョルノ、かっこいいんですよね。
一応知らない人のために解説しておくと、ワザップジョルノとはワザップの嘘ウラ技に騙されてジョルノ・ジョバァーナみたいなキレ方をしているカスのことです。
僕もたまにTwitterでキレる(キレると面白いと思ってるので)んですけど、ワザップジョルノのキレ方は質が違います。ワザップジョルノのキレ方、滅茶苦茶上手いんですよ。
今回は、僕のTwitterとワザップジョルノを比較して、ワザップジョルノが如何に上手いキレ方をしているかを書きます。
まず最近の僕のキレ方を貼ります。
基本的に食べ物が美味しくないと感じたことないんですけど、今日食べたカツ丼全然味がしなくて、卵とカツのオーガニックな素材の味しかしなくて、マジで馬鹿の考えた食べ物だろ。なんでカツ丼の味がないんだよ。こっちはカツ丼の味が好きなんだよ。なんならカツ丼の味なんてちょっと濃いくらいだと予想
— でも、この苦しみと逃げずに向き合うことこそが何よりも大切で、とても尊いことなのだと、わかってほしい (@sasatanwwwww) 2020年9月9日
してんだよ。どうして素材の味を活かそうと思ったんだよ、よりによってカツ丼で。味どこに行ったんだよ。病気が心配になって飲んだ味噌汁滅茶苦茶味あるのに、なんでカツ丼の味はないんだよ。添加物でも合成着色料でもなんでも使っておけよ、カツ丼なんて馬鹿しか食わねえんだからよ
— でも、この苦しみと逃げずに向き合うことこそが何よりも大切で、とても尊いことなのだと、わかってほしい (@sasatanwwwww) 2020年9月9日
基本的に食べ物が美味しくないと感じたことないんですけど、今日食べたカツ丼全然味がしなくて、卵とカツのオーガニックな素材の味しかしなくて、マジで馬鹿の考えた食べ物だろ。なんでカツ丼の味がないんだよ。こっちはカツ丼の味が好きなんだよ。なんならカツ丼の味なんてちょっと濃いくらいだと予想してんだよ。どうして素材の味を活かそうと思ったんだよ、よりによってカツ丼で。味どこに行ったんだよ。病気が心配になって飲んだ味噌汁滅茶苦茶味あるのに、なんでカツ丼の味はないんだよ。添加物でも合成着色料でもなんでも使っておけよ、カツ丼なんて馬鹿しか食わねえんだからよ
比較的最近(このブログを書き始めた時には最近だった)のツイートですね。
このツイート直後に、前日フォローして下さった方に速攻でリムーヴされました。
別にそんなに怒るほどじゃないけど実際ちょっとイラッとした感じの出来事を十倍ぐらいに炊きあげてTwitterでキレることがままあります。そんなに怒るほどでもないことを二ツイートも使って突然キレるのが面白いと思っているからです。ちなみにこういう理不尽なキレ方は気晴らしにもなります。
次にワザップジョルノを見てみましょう。
あなたを詐欺罪と器物損壊罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?あなたが皆をこんなウラ技で騙し、セーブデータを破壊したからです!覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちに訴えます。裁判も起こします。裁判所にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!貴方は犯罪者です!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!
芸術です。
僕のツイートと比較して詳しく見ていきます。
まず最初のセンテンス。
僕のツイートから。
基本的に食べ物が美味しくないと感じたことないんですけど、今日食べたカツ丼全然味がしなくて、卵とカツのオーガニックな素材の味しかしなくて、マジで馬鹿の考えた食べ物だろ。
これは状況説明のパートです。怒っている理由を明らかにしています。
僕の場合、最初に火種となる状況の説明を淡々と行い、「マジで馬鹿の考えた食べ物だろ」で突然ギアを切り替えるやり方をしています。
パッと思いつく限りでは、イエローテンパランス戦の承太郎のキレ方が近い(空条承太郎は味のないカツ丼に長文でキレることはない)でしょうか。何でキレるにしても、僕はこのパターンが多いです。
一方ワザップジョルノなのですが、
あなたを詐欺罪と器物損壊罪で訴えます!
もう最初の一文からキレてるんですよ。
理由はもちろんお分かりですね?あなたが皆をこんなウラ技で騙し、セーブデータを破壊したからです!
怒りを継続したまま「理由はもちろんお分かりですね?」で状況説明に突入するスピード感がすごい。
「セーブデータを破壊した」という言い回しは、状況を的確に説明しつつ怒りをひしひしと伝える名文です。
とにかく怒りがみなぎっている。
そしてこの勢いでワザップジョルノを最後まで見ていきます。
覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちに訴えます。裁判も起こします。裁判所にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!貴方は犯罪者です!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!
「覚悟の準備」という抜けたフレーズから始まって、訴える→裁判を起こす→裁判所に問答無用できてもらうという怒りの三段進化。
これがマジですごい。
訴える→裁判を起こす→裁判所に問答無用できてもらうって正統な三段進化じゃないですか? 本当にヒトカゲ→リザード→リザードンみたいな感じなんですよね。ボルテージがどんどん上がっていくのが目に見えてわかる。
そして次の一文「慰謝料の準備もしておいて下さい!」は前文の「裁判所に問答無用できてもらいます」よりはパワーワードがない分一見弱く見えるんですけど、実は違います。
ここまでは「裁判にかける」など、あくまで相手の有罪無罪を明かさないワードしか出てなかったんですけど、「慰謝料の準備」で「お前は有罪」だと初めて相手の罪を断定しているんですよ。
ここから相手の罪を断定するセンテンスに切り替わっています。だから次の一文は「あなたは犯罪者です!」なんですよね。
おまけに語尾の句読点も「!」に変わっていよいよ怒りは高まっていきます。
そこから繰り出される「刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!」というおなじみのフレーズ。ここまで丁寧な言葉で押し通しておきながら「ぶち込まれる」という粗暴な言葉を初めて織り交ぜ、ダメ押しに誤字(「ぶち込まれるのを楽しみ」ではなく、「ぶち込まれる楽しみ」)することで、もう理性では押しとどめることが難しい最高潮の怒りを感じます。
締めの言葉「いいですね!」が物凄い怒りを帯びて見えるのも、前文の怒りが尾を引いているからなんですよね。マジでかっこいい。
で、ワザップジョルノの後に出すのももう恥ずかしいんですけど、
なんでカツ丼の味がないんだよ。こっちはカツ丼の味が好きなんだよ。なんならカツ丼の味なんてちょっと濃いくらいだと予想してんだよ。どうして素材の味を活かそうと思ったんだよ、よりによってカツ丼で。味どこに行ったんだよ。病気が心配になって飲んだ味噌汁滅茶苦茶味あるのに、なんでカツ丼の味はないんだよ。添加物でも合成着色料でもなんでも使っておけよ、カツ丼なんて馬鹿しか食わねえんだからよ
これ僕のやつです。
一応僕も三段進化みたいなやつは使ってるみたいなんですけど、
カツ丼の味がない→僕はカツ丼の味が好き→カツ丼の味はちょっと濃いくらいだと予想している
全然ボルテージが上がってない。
ワザップジョルノの訴える→裁判を起こす→裁判所に問答無用できてもらうに比べて、かなり弱いです。フシギダネ→ピカチュウ→ピッピみたいな滅茶苦茶な進化してます(進化できてない)。
そこから
どうして素材の味を活かそうと思ったんだよ、よりによってカツ丼で。味どこに行ったんだよ。
に繋いでるんですけど、一貫してカツ丼の味がないしか言ってないんですよね。
マジで「カツ丼の味がない」しか言うことがなかったんだろうな。あるいは「カツ丼の味がない」しか言うことがないことが面白かったんだろうな、あの日の僕にとって。ていうかあの日寝不足だったから。マジで誰がこのツイート考えたの?みたいなね笑
病気が心配になって飲んだ味噌汁滅茶苦茶味あるのに、なんでカツ丼の味はないんだよ。添加物でも合成着色料でもなんでも使っておけよ、カツ丼なんて馬鹿しか食わねえんだからよ
まあ結局最後まで「カツ丼の味がない」しか言ってないんですけど。「カツ丼なんて馬鹿しか食べない」という暴論を持ち出すことで、怒りのボルテージ?が最後で最大になるというか、最後に滅茶苦茶になるようにしています。
根本的に言って、僕のキレ方は理不尽で、相手が悪いと断言できないんですよ。コイツ滅茶苦茶言ってるなくらいにしておかないと感じが悪すぎる。
だってカツ丼の味がしなかったけど、そういうカツ丼だから仕方なくないですか? 店側は僕を苦しめるためにカツ丼の味をなくしてるわけではありません。悪意がない。味がしないカツ丼に何らかのポリシーめいたものをもって、わざわざ味がしないカツ丼を提供して下さっているんですよ。まさか味がしないとは思わなかったけど、味がしないカツ丼を提供する店だった以上、仕方ないんですよ。カツ丼の味がしないのは本当にどうかと思いますけど、仕方ないです。カツ丼の味がしないのはマジでどうかと思いますけど。米の炊き方も下手だったし。
その点、ワザップジョルノは勧善懲悪です。悪意をもってワザップに書き込まれた嘘ウラ技を、自身の信じる「正しさ」をもって断罪していきます。正確に言うと、罪を断つことが出来る見込みは無いですが……
このスタンスの違いは大きくて、やっぱり怒りって悪に向けるべきなんですよね。相手が悪くないのにキレてる人間ってマジで空気悪くするからね。そういうことを承知の上で、何も悪くない相手に理不尽にキレると、僕のカツ丼みたいになってしまうわけです。いっそ悪意をもってカツ丼の味をなくしてほしかった。
そしてこれから書くことは僕とワザップジョルノの最大の違いなんですけど。
実は僕のキレ方は、文量によって怒りを調節しています。段階的に文量を増やすことに伴って、怒りのボルテージが上がっているように見えるんですよね(表現が成功しているかどうかは分からない)。
基本的に食べ物が美味しくないと感じたことないんですけど、今日食べたカツ丼全然味がしなくて、卵とカツのオーガニックな素材の味しかしなくて、マジで馬鹿の考えた食べ物だろ。なんでカツ丼の味がないんだよ。こっちはカツ丼の味が好きなんだよ。なんならカツ丼の味なんてちょっと濃いくらいだと予想してんだよ。どうして素材の味を活かそうと思ったんだよ、よりによってカツ丼で。味どこに行ったんだよ。病気が心配になって飲んだ味噌汁滅茶苦茶味あるのに、なんでカツ丼の味はないんだよ。添加物でも合成着色料でもなんでも使っておけよ、カツ丼なんて馬鹿しか食わねえんだからよ
状況説明→マジで馬鹿の考えた食べ物だろ→カツ丼の味がない三段進化みたいな短文でリズムを作る→リズムに則って文を長くする→最終的に長文の暴論にたどり着く、という構成。「味どこに行ったんだよ」は余計だったな、と今になって思います。
最初は短くしか言ってないことを具体的に長く言うことで、なんか怒りが大きくなっているように見えませんか? ボソボソキレてるオタクの声のボリュームが上がるみたいな。僕のTwitterのキレ方は大概これです。
一方ワザップジョルノは、
あなたを詐欺罪と器物損壊罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?あなたが皆をこんなウラ技で騙し、セーブデータを破壊したからです!覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちに訴えます。裁判も起こします。裁判所にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!貴方は犯罪者です!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!
何度も見た通り、徹頭徹尾短文なんですよ。
一貫して同じリズムで、内容の改変のみで怒りのボルテージを上げている。冷静に、静かに、確実に、怒りが高まっていく。
これが僕にはできません。
なぜならTwitterでキレている時は少なからず本当にキレているので、文の技巧まで冷静に頭が回らないからです。衝動に任せて徐々に文を長くすれば怒りのボルテージが上がっていくな、くらいの簡単なことしか理解できません。ていうか寝不足だったからね。マジでね。
その点ワザップジョルノは、これマジで怒りながら考えたんですか? 知らないですけど。本当に怒りの最中この文章を考えたのだとしたら、本物の文豪だろ。ワザップジョルノの身体には文章が流れている。
人の身体に流れている文章のリズムは、恐らく幼少の頃に読んだ本で作られていて、変えることは二度と出来ないと思っています。もちろん意識すればワザップジョルノでも西尾維新でも書けはすると思いますけど、手癖で書く(無意識に書いていて気持ちいい)リズムは恐らく誰も変えられない。
怒りをもって感情に任せて書かれる文章はこの手癖のリズムが大きく出るはずで、その点ワザップジョルノには僕と違う血が流れていると言う他ありません。 正しくジョースターの血が。
「無駄」がない文章、ふるえるハート、燃えつきるほどヒート。暗闇の荒野に進むべき道を切り開かんとするかの如く「覚悟」。
DIOの冷徹な頭脳とジョナサン・ジョースターの熱い心臓から生まれた本物のジョルノ・ジョバァーナ。それがワザップジョルノなんですよ。
ところでこれがワザップジョルノの騙された嘘裏ワザなんですけど。
ボルケニオンゲット!という「結果」に永遠にたどり着けず、また最初からポケモンが始まるのがゴールド・エクスペリエンス・レクイエムっぽくていいですよね。まあ完全にワザップジョルノは食らってる側なんですけど。
ヤツはもうどこへも向かうことはない
特にヤツが「真実」に到達することは決して……
ワザップで真実に到達することは
決して……『無限に』
終わりがないのが終わり
それが、『ゴールド・E・レクイエム』
~fin.~
このコラ画像マジで面白くないですか? 一人でずっと笑ってるよ。カツ丼にキレる承太郎がよ