おいしいそうなケーキ

わたしなりに一生懸命書いてるんだけど……ダメ、だよね……

漫才の台本書いた。これでM-1出ます

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  ハッキリ言ってM-1決勝進出できると思うんですよね。

  根拠は、学校でよく面白いと言われるからです。

 

 

 

 

 

 

  あのね、コンビ組んだよ!

 

 

  コンビ名  マキマキ&あやぴ

 

  ボケ担当マキマキ  学校にパジャマで来ちゃった時が一番ウケた

 

  ツッコミ担当あやぴ  マキマキの幼馴染。天然なマキマキの言動にいつもツッコミを入れるしっかり者

 

 

 

____________________________

 

 

あやぴ:どうもー。あやぴでーす。

マキマキ:マキマキだよ~。  

二人合わせて、マキマキ&あやぴです~。

 

あやぴ:いや~。二人で漫才を始めて三ヶ月くらいなんだけどさ。頑張ってやってこーかな。

 

マキマキ:漫才は三ヶ月しかやってないけど、わたしたちは生まれてから十七年一緒にいる幼馴染だからね! 息ぴったりだよ!

 

  せーの、

   「よろしくね!」「よろしくお願いします」

 

あやぴ:って! 全然息ぴったりじゃな~い! てい!

 

マキマキ :いたた~。やられた~。

 

あやぴ:もう。マキマキはしょうがないんだから(掴みはばっちり)

 

   

あやぴ:あのさ~。百合営業って知ってる?

 

マキマキ:えーなにそれ?

 

あやぴ:あのね、簡単に言うと、わたしとマキマキが仲良くしてる様子を見せることで、人が喜ぶ営業なの

 

マキマキ:そんなのがあるんだ。じゃあみんなにわたしたちの仲良しTiktok教えちゃう?

 

あやぴ:あのTiktokには りさちー(イツメンの名前です)がご飯食べてる動画しかあげてないでしょーが! てい!

 

マキマキ:いたた~。でもわたしとあやぴがポッキーゲームしてる動画もあるよ

 

あやぴ:それは恥ずかしいから人に見せたくないでしょーが! てい!

 

マキマキ:いたた~。

  

あやぴ :そういうのじゃなくてね。百合営業はもっとわざとらしいことをやるんだよ。じゃあちょっとやってみようか

 

マキマキ:え? 何するの?

 

あやぴ:チューしよー。

 

マキマキ:ポッキーゲームは見られたくないのに、チューは見られていいんかい! てい!(てい返し)

 

あやぴ:あれ~。ツッコまれた~。

 

マキマキ:もう。あやぴがツッコミなんだからしっかりしてよ

 

あやぴ:ごめんごめん。じゃあマキマキはやりたい百合営業ある?

 

マキマキ:わたし? わたしはねー。あやぴと手を繋いで歩きたいな

 

あやぴ:わたしはマキマキとチューしたいのにマキマキはわたしと手を繋ぐだけでいいなんておかしいでしょーが! てい!

 

マキマキ:え?

 

あやぴ:もう。ちゃんとボケてくれないとちゃんとツッコめないよー。

 

マキマキ:あー、そっかそっか。ボケだもんね。じゃあ、一緒に『マインスイーパー』やろっか(上手くボケられました)

 

あやぴ:それは一人でしかできないゲームでしょーが! てい!

 

マキマキ:日高屋行こっか!

 

あやぴ:女の子二人で行くには芳しくない雰囲気でしょーが!

 

マキマキ:美術館行こっか!

 

あやぴ:前に行った時に全然盛り上がらなかったからもう二度と美術館に行くのはやめようってなったでしょーが!

 

マキマキ: そうだっけ?

 

あやぴ:そうだよ。ちゃんと覚えててよ。

 

マキマキ:じゃあ世界を革命する力を手に入れよっか

 

あやぴ:それは参考文献『少女革命ウテナ』丸出しの百合営業でしょーが!

 

マキマキ:川のそばの二人だけしか知らない秘密の場所で花の冠を作ろっか

 

あやぴ:それは『あなたに響く百合アンソロジー エクレア』の連作、結川カズノ先生の『雑草譚』シリーズでしょーが!

 

マキマキ:みぞれのオーボエが好き……

 

あやぴ:みぞれって誰?

 

マキマキ:え?

 

あやぴ:みぞれって誰?

 

マキマキ:えっとね。『リズと青い鳥』に出てくる鎧塚みぞれさん

 

あやぴ:みぞれって誰なの?

 

マキマキ:百合アンソロジーに収録された短編タイトルをぴったり言い当てておいて、鎧塚みぞれを知らないことあるんだ

 

あやぴ:マキマキってすぐにわたしの知らない人の名前出すよね。

 

マキマキ:……

 

あやぴ:別にいいんだけどさ。楽しそうにしてるマキマキの話を聞くのは好きだから。

 

マキマキ:……ごめんね。次から気をつけるから……

 

あやぴ:ううん、いいのいいの。ごめんね、ちょっと変な空気になっちゃったね。ほら、続きやろ。

 

マキマキ:……うん! じゃあね。一緒に銀行強盗しよっか!

 

あやぴ:犯罪でしょーが!

 

マキマキ:一緒に漫才しよっか!

 

あやぴ:もうやってるでしょーが!

 

マキマキ:一緒にパンケーキ食べよっか!

 

あやぴ:それは何?

 

マキマキ:え?

 

あやぴ:それはどういうボケ?

 

マキマキ:えっと。この前食べたばっかりでしょーが!って

 

あやぴ:食べてないよ

 

マキマキ:あれ?

 

あやぴ:食べてないよ

 

マキマキ:おかしいな

 

あやぴ:誰と食べたの?

 

マキマキ:……えーっと。間違えちゃったー!ぴこぴこーん!(間違えちゃったー! ぴこぴこーん!というのは、マキマキの持ちネタです)

 

あやぴ:誰と食べたの?

 

マキマキ:……りさちーだった

 

あやぴ:ふーん

 

マキマキ:……ごめん

 

あやぴ:別にいいけどさ。マキマキにとっては、りさちーと一緒にいるのもわたしと一緒にいるのも同じってことだよね

 

マキマキ:違くて……。真っ先に思い出したのがパンケーキのことで、いつもあやぴと一緒にいるから、そうかなーって、つい口が先に動いて……

 

あやぴ:マキマキはいつもそう。

 

マキマキ:……

 

あやぴ:いつも適当で忘れっぽくってさ。わたしばっかり覚えてて。こんなこと考えたくないんだけど、マキマキがわたしを好きな気持ちよりも、わたしがマキマキを好きな気持ちの方が大きいんじゃないかなって。

 

マキマキ:それは違……

 

あやぴ:わたしがしっかりしてるのって、ツッコミだからじゃないんだよ? マキマキの隣にいるからなんだよ?  ちょっと抜けてるマキマキだから、わたしはしっかりしないと!って。十七年間マキマキの隣で作られたわたしなの。わたしはマキマキの隣じゃないとダメなの。マキマキは隣にいるのがわたしじゃなくてもいーみたいだけど。

 

マキマキ:あやぴ、きいてよ

 

あやぴ:もうやだよ。マキマキが漫才やりたいって言うから付き合ってきたけど、あやぴの嫌な部分ばっかり見えてくるの。ねえ気づいてる? あやぴの肩を叩く力が日に日に強くなってくるんだよ。本当はこんなに叩いたら痛いって分かってるのに。どうしても止められないの。ねえ、マキマキ。マキ……

 

 

  (無言で唇を塞ぐ)

 

(無言で唇が塞がれている)

 

(無言で唇が塞がれている)

 

(無言で唇が塞がれている) 

 

(無言で唇が塞がれている)

 

マキマキ:彩花、きいて。(彩花というのはあやぴの本名です)

 

あやぴ:……

 

マキマキ:あのね。彩花のこと大好きだよ。わたしは自分でも嫌になるくらい頭が悪くて、何も覚えられなくて、いつも嫌な気分にさせてるよね。ごめんね。彩花には凄く助けて貰ってる。いっぱいいっぱい助けて貰って、何も返せないよ。

 

  あやぴ:……

 

  マキマキ:そんな彩花を漫才に誘ったのは、わたしなりの恩返しのつもりだったんだ。こんなにダメなわたしのことを支えてくれる、彩花っていう相方がいるんだよーって。みんなに見て欲しかったの。彩花のことを、みんなに認めて欲しかったの。それなのにわたしのボケがダメダメだから、漫才だって上手くいかないよね。本当にごめん。わたし、自分のこと面白い人間だって勘違いしてたみたい

 

あやぴ:……そんなことない。マキマキは面白いよ。

 

 

マキマキ:……あやぴのツッコミ上手だから、面白く見えるだけだよ

 

あやぴ:それで充分じゃん……っ

 

マキマキ:……

 

あやぴ:……だってわたしたちは、漫才コンビなんだから

 

マキマキ:……

 

あやぴ:二人で面白ければそれでいい。でしょ?

 

マキマキ:あやぴ:……大好き!

 

あやぴ:……えへへ。わたしもだよ!

 

マキマキ:あやぴチュー!

 

  あやぴ:こ、こら! ……こんなの百合営業じゃなくて……百合だよ……ばか。(ぽかり)

 

  マキマキ:あーやーぴ。ツッコミのキレなくなってるよ?

 

  あやぴ:……こんなの、百合営業じゃなくて百合でしょーが! てい!

 

 

 

 

 

  お風呂に入って鏡を見ると、右肩は赤く腫れていた。

  マキマキはそっと、その赤色に自分の手を重ねる。今日のステージを思い出す。 

  それは忘れっぽいマキマキのためにあやぴが挟んでくれた、記憶の栞みたいだった。

  

  

 

 

  ~fin.~

  

 

  

  では松本さん。95点という高得点ですが、いかがだったでしょうか。

 

  そうですね。あやぴはツッコミなんやけど、段々ツッコミが怪しくなっていって。その時に垣間見えたマキマキの……なんと言うんでしょうね……猛々しさですかね。あ、ここでキスなんや!って。度肝抜かれましたけど。それを見るに、夜のあやぴはツッコまれる側に回る機会が多いんちゃいますか!という場外の驚きがあって、素晴らしい構成やと思いますね

 

 

  巨人師匠、いかがですか

 

  僕は松本くんとは違って、あれはそのままに表されていると思ったんだよね。純粋にツッコミはツッコミとして、ツッコまれる側はツッコまれる側として。それぞれの移り変わりが、そのまま彼女達の性行為の成り行きを表してるんじゃないかなって。だから結局あやぴがツッコむ方が多いんじゃないかな 

 

 

おーっと。何やら喧嘩になりそうですが。上沼さんどうでしょう。

 

 

 私はそもそもツッコミとボケをタチネコのメタファーとして見るのが下品で嫌やわーと思いますね。これはあくまで彼女達の思春期の一過性の感情であって……

 

  はい出た。思春期の一過性の感情。それは我々の業界では広義の百合として認識されてますからね。

 

 大体「思春期の一過性の感情」という言説は、彼女達の性欲を否定することになりますよ。これは『リズと青い鳥』ではないんです。二人はたしかにチューしたいと思っているんです。その生理的衝動を「思春期の一過性の感情」ってアンタ、馬鹿だって理論的に考えれば分かりそうなものでしょうがよ。

 

 

 

  

  

  えースタジオの収集はつきませんが、ありがとうございました。

  というわけでマキマキ&あやぴは、惜しくも決勝戦敗退です。来年もお待ちしております