おいしいそうなケーキ

わたしなりに一生懸命書いてるんだけど……ダメ、だよね……

このネーミングセンスがヤバイ!素敵なキャラクターの名前10選

 


  今回の記事は、僕の大好きな「言葉」についてです。
  僕は言葉が大好きな人間なので、毎日Twitterをやっています。Twitterは色々な言葉が流れてきて楽しいですね。


 まあ僕のTLは、こういうタイプの頭悪い言葉しか流れてこないので勘弁してくれ〜って感じなんですが。



  僕のTwitter事情は置くとしても、素敵な人間の使う言葉は素敵です。
  例えば、かの有名な素敵人間、畑亜貴先生はこんな言葉を使っています。



  「世界平和だ  ご近所訪問」





 
  これが素敵人間の使う言葉です。

  ご注文はうさぎですか??のOP、ノーポイッより引用した言葉ですが、こんな素敵な言葉を生み出すことが、普段Twitter「シャロちゃんのうさ耳をポイってしたい人生だった」なんていうツイートを繰り返すオタク達にできるでしょうか?(反語)

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(参考画像、シャロちゃん)

  素敵な言葉を扱う人間は、物語に携わることがほとんどです。例えば小説だったり、漫画だったり、ゲームだったり、色々な物語に素敵言葉扱奴は携わっていらっしゃいます。

  今回はそんな物語に登場する素敵な言葉たちを紹介したいわけなのですが、物語において、言葉の持つ素敵さが一番詰まっていて、かつ言葉使いのセンスが顕著に現れる部分はどこだと思いますか?



  
……答えは人それぞれ別れると思いますし、異論は認めるのですが、個人的には「名前」に現れると思っています。ネーミングです。
  これは何も、キャラクターの名前に限らず、場所だとか、道具だとか、多岐に渡る名前です。
  
  そんな中で、僕はタイトルにもある通り「キャラクターの名前」に焦点を絞って、今回の記事を書きたいと思います。



題して「このネーミングセンスがヤバイ!素敵なキャラクターの名前10選」です。



  僕が心ときめいたキャラクターの名前を10個紹介しますので、皆さんは言葉って綺麗だな〜って思い直して、これからの自分のツイートを改めて下さい。

  僕も改めますので。


  なお、今回の記事もあくまで僕の個人的な嗜好によるものなので、人によっては全然ピンと来ない言葉もあるかもしれませんが、その点ご了承ください。
いつもご了承をお願いして申し訳がないです。


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【火焔猫  燐】(かえんびょう  りん)
命名者:ZUN
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  東方Projectより選出、火焔猫燐、通称おりんです。

  まず注目すべきは「燐」という名前です。
  「りん」には凜とか鈴とか素敵な漢字がたくさん揃っているのですが、その中で火車という妖怪のキャラクター性に合わせて、火のついた「燐」という漢字をチョイスしたのがgoodです。

  僕は「りん」という女性名がとても大好きです。 かっこいいですよね。「おりん」なんて呼ばれるキャラクターに、「アタイ」の一人称を割り当てたいです。
  しかし好きすぎるが故に、キャラクターに命名するとなると、なかなかできないんですね。
  どうせなら取っておきのキャラクターに命名したいし、「りん」に見合った苗字もつけなければなりません。

  「田中 凜」という名前の、変な服を着た女の子を想像してください。勿体なくないですか?
  その点火焔猫燐という名前は、見事「りん」に釣り合った苗字が付いています。おりんちゃんは猫耳だし三つ編みだし魅力的なキャラクターでもあるので百点満点です。

  東方はキャラクターの名前だけではなく、音楽だったり技名だったりにも素敵なネーミングが沢山あるので、興味がある方は1度調べてみてください。






【グリムジョー・ジャガージャック】
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  説明不要の師匠命名。BLEACHより抜粋グリムジョー・ジャガージャック君です。

  実は僕、BLEACHって読んだことないので、グリムジョー君がどんなキャラクターなのか全く知りません。
  なんでも、Wikipediaを見る限り、グリムジョー君は「破壊」に特化したヤバいキャラクターらしいです。

  ですがそれって、「グリムジョー・ジャガージャック」という名前を見ただけで、なんとなく伝わってきますよね?
  名前を見ただけで「暴力性」「コイツに関わったら"ヤバい"」というキャラクター要素が伝わってくるのは本当に見事なところです。



  僕が推測するに「グリム」「クリムゾン」という、イギリスで暴力や血を表す単語(エロ同人作家ではないです)を元にして、そこに男性名である「ジョー」を足したのではないでしょうか。
  「ジャガージャック」もそんな感じで、ジャガーは凶暴だしジャックはかっこいいよねって感じです。かっこよくて凶悪な感じに仕上がりました。


  皆さんはこの機会にBLEACH、読んでみてはいいがですか?僕は読む気力ないですが。

BLEACH  1 (ジャンプ・コミックス)

BLEACH 1 (ジャンプ・コミックス)






命名:不明
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  本来ハンプティ・ダンプティとは、マザーグースの一つであり、そこに登場する卵の姿をしたキャラクターのことでもあります。つまり、童謡のタイトルでもあり、キャラクターでもある訳です。
  分かりやすく例えると、アカギが主人公の名前でもありながら、作品名でもあるということです。

  ハンプティ・ダンプティという、この愉快な字面が僕はとっても好きです。百回くらい連続で口ずさみたいです。

  ハンプティ・ダンプティの意味だとか、語源だとかについては真面目に語っていると長くなってしまうので省略します(Wikipedia見てください)が、一言だけ言うと、表音言語である英語ならではのネーミングなのかな?って小首を傾げながら思いました。小首を傾げるって可愛いですよね。


アカギ?闇に降り立った天才 1

アカギ?闇に降り立った天才 1




 


【田中 トム】(たなか とむ)
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  成田ファンから、もっと凄い名前あったでしょ!と言われそうなのですが、僕は一番トムさんの名前がシンプルながら好きなので、デュラララより田中トムさんを選出しました。
  
  田中は日本でありふれた苗字トムは英語圏で頻繁に見かける名前(また略称)なのですが、二つのありふれた字名を組み合わせて出来上がったこの名前はどうでしょう。見事に唯一無二な素敵さです。

  決して飾ることなく、シンプルな組み合わせによって素敵さを築いた田中トムという名前は、新造形主義のピエト・モンドリアンの絵画を思わせますね。


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(参考画像:赤、黄、青のコンポジションモンドリアン




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だからなんだって感じですね。






  ちなみに、田中トムでGoogle画像検索すると、五枚目くらいにかなりヤバイ画像がヒットするので気をつけてください。







【Disco Wednesdayyy】(でぃすこ うぇんずでい)
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  舞城王太郎先生執筆、ディスコ探偵水曜日より迷子探しの探偵ディスコ・ウェンズデイです。作中では終始カタカナ表記で「ディスコ・ウェンズデイ」ですが、一応英語の国の生まれなのでアルファベット表記させて頂きました。そっちのがかっこいいので。

  Wednesdayの 「y」が3つ重なっているのはミスではなく、作中の冒頭で『ウェンズデイのyが三つ重なるせいで友達がみんなカウボーイの「イィィィィハ!」みたいに語尾を甲高く「ウェンズでE!」といなないてぶふーふと笑う』と表記されているのでこれであってます。
  

  「ディスコ」「ウェンズデイ」という単語の秀逸な組み合わせもさる事ながら、和訳との組み合わせで作り上げられたディスコ探偵水曜日という小説の題も素敵ですね。あと日本語名を名乗る時は「踊場水太郎」なんて名乗ったりします。水太郎はちょっとカッコよさには欠けますね。



  ディスコ探偵水曜日には、他にも素敵な名前の探偵がたくさん登場します。上(中)下巻合わせて、びっしり書き連ねられた文字列が1200ページくらい続く小説ですので、達成感を味わいたい人だけ読んでください。

ディスコ探偵水曜日〈上〉 (新潮文庫)

ディスコ探偵水曜日〈上〉 (新潮文庫)






【キスショットアセロラオリオンハートアンダーブレード】
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  この題材でこの人を避けて通ることは出来ないですね。西尾維新先生の物語シリーズより選出のキスショットアセロラオリオンハートアンダーブレードちゃんです。

  西尾作品から好きな名前を1つだけ選ぶというのはなかなか難しいのですが、個人的に一番声に出したい日本語を選ばせて頂きました。

 略して「キスショット」なんて呼ばれてるのも素敵ですし、忍野忍になってから「旧キスショットアセロラオリオンハートアンダーブレード」と呼ばれてるのも素敵です。とにかくキスショットをとってもアセロラをとってもオリオンをとってもハートアンダーブレードをとってもどこをとっても素敵な、素敵言葉の羅列感が半端ない素敵の塊ですね。

  しかし、それでいてどことなく吸血鬼感があるのは流石です。キスショットは吸血動作っぽいですし、アセロラ血を思わせる赤ですし、オリオンはオーリーオーンの神話に準えられるっちゃ準えられる気がしますし、ハートアンダーブレードもなんとなく頑張ればこじつけられるっちゃこじつけられますよね。適当ですが。

  西尾維新先生が好きだと言うと、ガキ乙みたいな風潮ですが、ネーミングに関しては本当に天才的な方だと思いますので、皆さんも勇気を出して西尾維新先生って凄いよね〜と言ってみてください。







九十九十九(つくも じゅうく)
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  作者の名前にもフリガナが必要かと思われる清涼院流水(せいりょういん りゅうすい)先生の作品、JDCシリーズから選出、九十九十九です。

  このキャラクターは「九十九 十九」と間にスペースを入れて、姓と名前を区別するのが正解なのですが、九十九十九インパクトを魅せたかったので仕方ないですよね。

 突然ですが、 ここまで挙げた、清涼院流水西尾維新舞城王太郎成田良悟、4者の作品には、ある共通点があります。
  それは作中の登場キャラクターの多さです。
  余談ながら何故これらの作者が狂った名前をキャラクターに命名するのかを推測しますと、恐らくそれは、物語の媒体が小説であるが故なのではないでしょうか。

  アニメや漫画では、登場キャラクターの名前を覚える必要がほとんどありません。顔さえ覚えておけば愛称で呼んで構いません。僕もCharlotteの「友利奈緒」ちゃんの名前が覚えられなくて、ずっと「あやねる」と呼んでいました。それで通用するのです、アニメと漫画では。

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 (参考画像、あやねる)

  しかし小説ではそうはいきません。何故なら文字だけの世界だからです。キャラクターには声もビジュアルもありません。それなのでキャラクターの名前を認識してもらう必要があるのです。

  ですが、キャラクターの多く登場する小説においてはそれが困難を極めます。
  人は新しい単語をいくつも覚えることができません。なんか突然カタカナ造語をいくつも並べた説明が始まるファンタジー小説ありますよね?  あれを覚えられないのと一緒です。

  絵が使えない、音も使えない、しかし登場人物は多い。
  この難題を解決する鍵が、狂ったネーミングなのです。インパクトのある字面、印象に残る名前、それらは人の意識に強く訴えかけます。

  広大な文字の海の中で、キャラクターを浮かび上がらせるネーミング、それが九十九十九であり、  「ディスコ・ウェンズディ」であり、小説という媒体から生まれるべくして生まれた言葉たちなのです。素敵な話ですね。全部推測ですが。

  あと、西尾維新先生に限ってはそういうことを考えた訳ではなくてただ趣味で名前つけてる気はしますね。もちろん推測ですが。
  
  余談で締めるのもなんなので、JDCシリーズのリンク貼って九十九十九の件は終わります。

コズミック (講談社ノベルス)

コズミック (講談社ノベルス)






【裸獣汁外衛賤厳】(らじゅうじゅうげえしずよし)
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  内藤先生の血界戦線よりヤバめな名前を選出しました。裸獣汁外衛賤厳です。
  不吉な感じのキャラデザに、おどろおどろしい雰囲気を帯びた字面が完璧にマッチしています。


  「裸獣汁外衛賤厳」と見ると、一見人知を超えたネーミングに見えますが、名付けたのは人です。取っ掛りがあります。ネーミングの元となった名前を勝手に推測すると、「柳生三厳」(やぎゅうみつよし)が有力だと思われます。
  解体して見ていきましょう。

  まず「らじゅう」ですが、「やぎゅう」と音が似ています。
  「らじゅう」という音自体は、亀慈国出身の僧侶鳩摩羅什」(くまらじゅう)から取っていると思われますので、らじゅう自体を導き出すのは難しくないですし、そこに「裸獣」とそれっぽい字を当てるのも簡単です。
  ですが、「やぎゅう」の代わりに「らじゅう」を持ってくるのが容易いかと言われれば、それは難しいところです。ラップやってる人はこういうの得意そうですね。

  続いて「じゅうげえ」なのですが、これは柳生三厳の通り名である「十兵衛」から取られていると見て間違い無いでしょう。
  「じゅうべえ」から外して「じゅうげえ」にして、更にそこに「汁」を当てたのは内藤先生のセンスが伺える箇所です。裸獣に続いて汁が加わったことで一気に不穏な雰囲気が増しました。

  最後の「しずよし」ですが、「〇厳」と書いて「〇〇よし」と読むのは柳生氏に多く見られる名前の特徴です。その特徴に沿って「賤厳」と命名したのは分かりますが、「厳」の前に「賤」をチョイスするのはなかなか出来ることではないです。ぎりぎり厨二をくぐり抜けた感が凄いですよね(くぐり抜けてますよね?)。



  血界戦線には漢字名の登場キャラクターはあまりおらず、カタカ名の方が多く見られます。どちらにせよ素敵な名前ばかりですのでオススメです。(僕はアニメしか見てないので、漫画の方はちょっと分からないですね)






【桐間 紗路】(きりま しゃろ)
命名:Koi
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  Koi先生のごちうさから抜粋するのは、みんな大好きシャロちゃんです。

  ごちうさのキャラクターは、誰もかれも飲み物の名前を元に付けられています。

例えば
「保登心愛」(ほと ここあ)は「ホットココア」
「香風智乃」(かふう ちの)はカプチーノ
「天々座理世」(てでざ りぜ)は「テデザリゼ」
という具合です。


  正直、無理やり感が半端なくないですか? 
決して喧嘩を売っている訳ではないのですが、特に天々座理世先輩。名前はリゼで可愛いですけど、テデザって……苗字しっかりしてくれ〜って僕は思っちゃいます。
 
  シャロちゃんはキリマンジャロを元に名前を付けられているわけなのですが、僕が安心したのは

「桐満 紗路」(きりまん しゃろ)
ではなくて
「桐間 紗路」(きりましゃろ)だった!
っていうところです。よく「ん」を取ってくれた!って感動しました。
  他の面子のネーミングには、個人的にあまり心打たれる物はないのですが、シャロちゃんは完璧に仕上がってます。


  あと僕は「紗」っていう漢字が大好きなんですね。
「桐間 邪路」とかにしないでくれてありがとうKoi先生!






  「紗」って、ほんと素敵だね



ロッテ 紗々 69g×10個

ロッテ 紗々 69g×10個





【妖艶緑茶云々師匠】(ようえんりょくちゃうんぬんししょう)
命名:かなしみホッチキス
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  僕の大好きな、かなしみホッチキス氏作成のフリーゲームタオルケットシリーズより妖艶緑茶云々師匠です。師匠は敬称だと言う気もしますが、師匠込みの方がかっこいいので師匠も付けました。
  どこまで苗字でどこから名前なの?とかいうしょうもない質問はしないで下さい。それはピカチュウの苗字を尋ねるのと同じことです。

  既存の単語の組み合わせでできた名前ではありますが、「妖艶」「緑茶」「云々」という脈絡のない単語を組み合わせる発想は並大抵ではありません。一番凄いのが「云々」ですね。初めて見た時は、云々を名前に組み込んできたか〜と不意をつかれて滅茶苦茶感銘を受けてしまいました。
  僕だったら「妖艶緑茶」まではなんとかたどり着けても、その次には「電車賃」とか置いてしまいそうですね。

「妖艶緑茶電車賃」
  電車賃が妖艶と緑茶を粉々にしてますね。

  しかし、ただ奇抜なだけでなく、それでいて声に出したくなる音として完成されているのが高評価です。1回、「妖艶緑茶云々」って声に出してみてください。なんかいいですよね?  でも、絶対にTwitterとかのハンドルネームにしないで下さいね?

  タオルケットシリーズのキャラクターは、今まで挙げてきたどの作品にも属さない唯一無二のネーミングがされています。
  妖艶緑茶云々師匠以外に例を挙げると
「血反吐結び」「もーちゃす」「猫足乙女」「ぱりぱりうめ」「わらわぅ」「いっぱいくつした」、等々素敵な文字列が並びます。
  かなしみホッチキス氏曰く、自分の作品のキャラクターの名前を、他の作品のキャラクターと被せたくない、らしく、それ故の独創的なネーミングの結果がこれらという訳です。

  タオルケットシリーズはフリーゲームですし、1日もあれば1作品終えられるくらいのボリュームです。気になった方は是非プレイして僕に感想を聞かせてください。

  伊藤園 プレミアムティーバッグ 抹茶入り緑茶 50袋

伊藤園 プレミアムティーバッグ 抹茶入り緑茶 50袋







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  たくさんの素敵な言葉に触れてどうでしたか?心は洗われましたか?
  「ていうか挙がった名前、全部厨二的だったね」って言うのは止めてください。全部まともなので。




あっそうだ(唐突)
  言葉と言えば、Twitterの文字制限が1万字に緩和されるという発表がありましたね。これからは1万字未満のブログ記事を書いたらTwitterでやれ」とか言われちゃうんでしょうか。怖いですね。
  そうなる前に、今回は140字以上1万字未満の記事を書いてやりました。
  
  まあTwitterの文字制限が1万字になったところで、おいしそうなケーキの記事内容は何も変わらないのですが。
  というわけで2016年も頑張るので、女子高生ブロガー紗々ちゃんのこと、今年もよろしくお願いします。



後期苺ましまろ問題

 

 

    皆さんは苺ましまろという漫画をご存じでしょうか。

 知らない人間のために説明をすると、苺ましまろとは小学生女児4人と女子高生1人がつるんで仲良くどたばたやるという内容の日常漫画です。


「かわいいは、正義!」


という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、決してTwitter発祥の面白ワードなどではありません苺ましまろのキャッチコピーなのです。
 言葉の通り、女の子のかわいさには定評があり、特に作品の核である小学生4人の描写に力がそそがれています。
 かわいく描かれる小学生たちは、ロリータ嗜好のオタク共に抜群にウケ苺ましまろの中核をなす要素でありながら、かつ武器でもありました。


 余談ではありますが、僕は小学生という存在に魅力を感じないタイプのオタクなので、メインキャラ唯一の女子高生である伊藤伸恵通称のぶ姉がかわいいと言いながら苺ましまろを読んでいます。

 

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 女子高生にして飲酒喫煙無免許運転とやりたい放題の女の子。
吸っている煙草はマイルドセブン(略してマイセン)という現在はメビウスに名称変更されたやつの8mm。
 もしもメビウスの8mmを吸っているお友達が「俺マイセンの8mm吸ってるはw」と言っていたら、そいつは8割方苺ましまろに影響されたオタクです。


 話を戻します。苺ましまろの武器はかわいい女の子だけではありません。

女の子がかわいいだけならごちうさでシャロちゃんを見ているだけで事足ります。

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(参考画像、シャロちゃん)


 ではシャロちゃんと苺ましまろの違いはなんなのかと言うと、それは色々とありますが、一番の違いはシュールなギャグです。


 どうやら作者がお笑いコンビのダウンタウンを好きらしく、それに影響されたシュールなギャグがいたく面白く、なうなオタクにバカウケなのです。

 

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 初見で爆笑したリコちゃんハウスです。ダウンタウンに影響されたのかどうかは全く定かではないですが、実際面白いです。

 この「作者がダウンタウンを好きだからギャグが面白い」という、風が吹けば桶屋が儲かる的な主張は、インターネットで苺ましまろのレビューを探すとやたらに出てくるので、僕も主張してみました。


 さて、ここまでの要点をまとめると、苺ましまろは女の子がかわいくてギャグがウケる、ということですね。
 これさえ押さえておけば、オタク同士のオフ会で苺ましまろの話題が出ても
「あ~あの苺ましまろは女の子が可愛くてギャグがウケるやつね~」

と上手く乗っかることができます。
 しかし、「苺ましまろは女の子がかわいくてギャグがウケる」などという情報はAMAZONのレビューを見ただけでも分かることです。
 それなので、「あ~あの苺ましまろは女の子が可愛くてギャグがウケるやつね~」などと言いすぎるのは、ひょっとしてこいつは苺ましまろを知らないのでは?とニワカ認定される手前までいきます。
 オタクのステータスは、いかに様々な書物を読み、アニメを見ているかに集約されるので、苺ましまろを読んだことがないとバレるのは、今後のオタクカーストに関わってきます。


 そこで今回は、オタク同士のオフ会で苺ましまろの話題が出てしまったというシチュエーションを想定して、オタクカースト上位を狙える苺ましまろ学の命題「後期苺ましまろ問題」についてお伝えします。
 あなたも「後期苺ましまろ問題」についてしっかり学べば、オタクカースト上位間違いなし!

 

 ここまで前置きです(次から本題です)

 

・後期苺ましまろ問題とは

 では「後期苺ましまろ問題」とは何なのかと言えば、僕が勝手に名付けた苺ましまろの軌跡における変容とそれに関わる問題点のことです。
 「後期クイーン問題」をもじったことは明らかですが、後期クイーン問題とかシュレディンガーの猫とかが大好きなオタクなのでそれ故のネーミングです。

 

 まずは、苺ましまろの歴史を見ていきましょう。ここからはお勉強の時間です。

 そもそも苺ましまろがこの世に初めて発表されたのは2001年のことです。今から約15年前ですね。
 当時から今にかけて『月刊コミック電撃大王』で不定期掲載という形式を取っているので、単行本の1巻が出たのは2年後の2003年です。

 こちらがwikipediaから引用した単行本発行の軌跡です

第01巻(2003年1月27日)
第02巻(2003年7月26日)
第03巻(2004年3月27日)
第04巻(2005年5月27日)
第05巻(2007年4月27日)
第06巻(2009年2月27日)
第07巻(2013年3月27日)

 

 3巻が発行された年である2005年にはアニメ化もされており、一躍知名度が上昇しました。

 

 完全に余談ですが、漫画では飲酒煙草無免許運転とやりたい放題の女子高生のぶ姉は、アニメでは流石に許されなかったらしく、設定を二十歳の大学生に変更されています。

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 アニメ化にともなって女子高生を辞めさせられた女の子は、恐らくのぶ姉さんだけでしょう
 もしも他に「メディアミックスの都合で女子高生が女子高生を辞めている作品」があったら教えてください。

 

 2015年12月現在、苺ましまろの連載は終わっていません。まだ続いています。しかし8巻が出る気配はありません。7巻が出るのにも4年かかってますから、少なくともあと2年は出ないと思います。


 ここまでで勘づいた方もいるでしょう。
 苺ましまろの作者、ばらスィー先生という乳酸菌飲料にありそうな名前の方なのですが、この人、完全にやる気ないです

 月刊と週刊なので比べるのは的外れなのですが、あの富樫先生だって1998年から今に至るまでにハンターハンターを32巻出しています。

 もっと分かりやすく比べると、同じ月刊コミック電撃大王で2003年から連載をスタートしたよつばとは、13巻出ています。

 後続のよつばとにダブルスコアつけられる手前ですね。

 

 そもそもばらスィー先生が月刊コミック電撃大王で不定期掲載の形式を取っていたのは昔の話で、今では定期連載の地位を獲得しています。それにも関わらず単行本の発行頻度が年々落ち込んでいるのは、異常な休載頻度が故です。

 具体的にどれくらい休載を繰り返しているのかは知りませんが、とにかく最近のやる気のなさは著しく、単行本の出るスパンは伸びるばかりです。

 


 さて、だらだらと連載が続いている苺ましまろは、徐々に、と言うよりはどちらかというと唐突に、変わります。

 ここからは便宜上、1~4巻を前期苺ましまろ5~7巻を後期苺ましまろと分類させて頂きます。

 本当のことを言うと、もう少し細かく分ける必要があるのですが今回は割愛します。

ここで分類した「前期」と「後期」の苺ましまろ。この二者の相違点に後期苺ましまろ問題があるわけです。

 

 前期苺ましまろと後期苺ましまろの違いは色々とあります。

 例えば絵柄
絵柄の変化は長期連載漫画では避けて通れない道です。


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 こちらはコミック1巻の表紙です。2人とも小学6年生の女の子で、別に僕がロリコンというわけではないのですが、可愛く描かれていますね。

 

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 そしてこちらがコミック7巻の表紙です。
 ツインテールを見比べてもらうと分かりやすいでしょうか。1巻左のツインテールと、7巻中央のツインテール同一人物です。カラーなので塗り方の違いなども目についてしまいますが、全体的にキャラクターの顔が丸っこく描かれるようになっているのが分かると思います。キャラデザの幼児化です。よつばとでも同じ変化がみられるのですが、ロリは丸くなるものなのでしょうか。 


 絵柄の変化を「問題」として取り上げることはしません(避けられないので)が、強いて言えば僕は前期の絵柄が好みでした。

 

 他に変化と言えば、後期に向かうにしたがって暴力のインフレが起こります。

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 2巻の暴力です。痛そうで痛くない、ちょっと愛のある暴力です。僕がシャロちゃんにする腹パンと少し似ています。


 

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5巻の暴力です。基本的に人が吹っ飛びます。

 

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 7巻では満を持して見開き劇画タッチの暴力が登場します

 

 暴力のインフレは後期苺ましまろ問題に少なからず絡んでくるのですが、主な問題というわけではありません。が、強いて言えば僕は前期の優しい暴力の方が好きでした。


 それでは結局、後期苺ましまろ問題とはどんな問題なのか。

 それは、いわゆる「方向性の変化」です。
 当時はロックやってたバンドが急にポップになって音楽性の違いで解散するみたいなあれです。

 苺ましまろのキャッチコピーが「かわいいは正義」であるということは前述しました。かわいいを大前提として、そこから繰り出されるシュールなギャグが苺ましまろという作品の魅力です。

 基本的に前期苺ましまろ
かわいい:ギャグ=7:3 

 くらいの割合で構成されていると思います。

 ですが、この割合が後期苺ましまろでは崩れているのです。

かわいい:ギャグ=2:8 

 くらいの割合に逆転しているというのが僕の見立てです。
 別にデータをとったわけではないのですが、感覚でそれくらいです。

    前期苺ましまろでは、日常の場面を切り取って話を展開し、ギャグは添えるだけ、というスタンスが主流でした。

    しかし、後期では打って変わって、コント的な構成を主として、日常は添えるだけになっています。

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 1巻よりみんなで海に遊びに行く話。前期の話には、一種のストーリー性が見受けられます。

 

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 一つのテーマを元にてんどんするのは後期でよく見られる現象です。コント的な作風の象徴と言っても良いでしょう。

(ちなみに画像は「もったいないを他国の言語で言うとどうなるの?」というテーマです)

 

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挙句の果てには作中で本当にコント始めてます。

 

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 自分で考えたコントの終わりに「てんどんが多かったのが気にかかる」と、自ら予防線を張るのがにくいですね。

 

 要するに苺ましまろは「かわいいは正義」の日常漫画から、ダウンタウンに影響されたコント的ギャグ漫画になり下がってしまったのです。

  まるで、つまの上にあった刺身が、いつの間にかつまの下敷きになっていたかのようです。

 


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 この画像は7巻のものです。僕はこのコマを見てかわいいは正義」の終焉を決定的に感じてしまいました。

 

 この画像のツインテールの女の子、名前を美羽ちゃんと言います。さっきからぶん殴られたり表紙に出てきたりしている女の子ですね。この子は作中のボケ担当みたいなものなので、突っ込まれるついでに暴力食らったり、バク転して頭打って死んだりと、色々酷い目に合っています。

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(バク転して頭を打って死ぬ参考画像)

 

 ですが、いくら酷い扱いを受けるボケ担当の美羽ちゃんだって、苺ましまろではかわいく描かれていて、そこに作者の愛がありました。
 徐々に、破天荒で無機質なボケマシーンというキャラクターを築いてしまった美羽ちゃんですが、前期には女の子らしく涙を流すシーンだってあります。
 しかしそんなボケマシーン美羽ちゃんであっても、ここまでギャグタッチの顔芸をさせることは前期苺ましまろではありませんでした。かわいいを捨てさせることは、絶対に間違っても絶対にありませんでした。

 

 

 以上挙げた「かわいい」を切り捨て「ギャグ」に走り始めた苺ましまろの変化、これこそが「後期苺ましまろ問題」なのです

    前述した暴力のインフレも、ギャグに走ってしまった影響のためです。突っ込みが激しくなって、より作品に笑いを強調するのに一役買っています。

 

    推測するに、ばらスィー先生は15年もの時を経て、書きたいものが変わってきてしまったのではないでしょうか。

    最初はかわいい女の子が書ければそれでいいと思っていたのに、いつの間にかギャグがやりたくなった。ダウンタウンに影響を受けて、笑いをやりたくなった。

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  1巻のあとがきではたしかにこう言っています。

   

 15年もの歳月は、1人の人間の方向性を変えるには充分な時間です。僕も飽きっぽい人間なのでとてもよく分かります。

    違うことをやりたくなったのなら、新しく連載を始めればいいじゃないと思うかもしれませんが、それは、やる気のない漫画家には酷というものです。結果、だらだら続く苺ましまろはいつの間にか変容して、後期苺ましまろ問題は起こったというわけです。

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 前期苺ましまろは間違いなく名作でした。一つの宗教を築けるくらいに前期苺ましまろは聖書でした。

 小学生が好きじゃない僕でも、かわいいじゃんと思える作品でした。

 

 

 僕は後期苺ましまろ問題が残念でなりません。

 「グラップラー刃牙」が面白くって「範馬刃牙」まで全部読破した時の気持ちと似ています。

 

 

 ダウンタウンがいなければ苺ましまろはかわいいままでした。

 「作者がダウンタウンを好きだからギャグが面白い」という主張は、僕が言い換えると「作者がダウンタウンを好きだから苺ましまろのかわいいは終わった」という感じです。
 しかし、ダウンタウンがいなければ苺ましまろがここまでの名作になっていなかったのも、また事実なのです。
 自分の尻尾に食らいついたウロボロスの蛇のように、パラドックス的な問題も後期苺ましまろ問題は内蔵しています。
 いったい何が正解なのか、それは誰にも分かりませんが、ベストだったのは、前期のかわいさとギャグの黄金比苺ましまろが続いてくれることに間違いないです。

 


 苺ましまろ7巻の帯には「これからの『かわいいは正義』の話をしよう」という煽り文句がかかれています。

  が、「かわいいは正義」に「これから」はありません。

  かわいいは正義は、死んだ
  かわいいは正義は死んだんだ
  いくら呼んでも帰っては来ないんだ
  もうあの時間は終わって、君も人生と向き合う時なんだ

 


 いつまでも苺ましまろ読んでないで、就活します。

 

 

苺ましまろ 1 (電撃コミックス)

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