ジャニス・ジョプリンが好きです。
彼女、滅茶苦茶かっこいいからです。あれだけかっこよくて、パワフルで、でも傷だらけで孤独なところにグッときます。
Janis Joplin - Piece Of My Heart
こちらのライブ映像が今回の本題です。
あまり詳しく知らないですが、ビッグ・ブラザー解散後の、コズミック・ブルース・バンド結成まもなくのヨーロッパツアー。フランクフルトでのライブだと思います。曲は『Piece Of My Heart』。
このライブ映像、ちょっと凄いです。最初に見た時「百合じゃん」の声が出てしまいました。
動画見たら言わずもがなですけど、これ百合じゃないですか?
いくつかピックします。
まず1:21の場面。
『Peace Of My Heart』を歌うジャニスが、「You know you got it if it makes you feel good」(あんたはそれができるのよ、そうしたいと思うんなら)の部分で、観客の女性の手を引っ張ってステージに上げます。
この困ったように指を噛む、観客の女性が主役です。
肩から大判の白いストールを羽織って、青いセーターを着ています。それと顔がいいです。なんとなく「クリス」という名前が似合うので、以降クリスと呼びます。
「あんたはそれができるのよ、そうしたいと思うんなら」に答えてステージに上がるの良いですよね。この時点で既にグッときます。
そして重要な1:49の場面。
クリスを腕に抱きながら、ジャニスが歌います。
ここは本来、「But when you hold me in your arms, I'll sing it once again」(でも、あんたの腕の中にいると、あたしはやっぱり同じように歌っちゃうのよ)と歌うはずなんですけど、どう聴いてもそう歌っているように聴こえません。
ちなみに僕のセンター試験の英語は100点を超えておらず、リスニングは17点です。
自信ないですが、多分ここ「But I'm gonna show you, baby, that a woman can be tough.」(でも、あたしはまだあんたに見せたいのよ、ベイビー、女がタフになれるとこを)を歌ってませんか?
これは一番のサビ前の歌詞で、多分これかな、と思うんだけど…リスニング駄目かな…
『Piece Of My Heart』は雑に言って失恋した女の応援歌なので、彼女を腕に抱きながら歌うなら、後者の歌詞がしっくりきます。
要するに、こう見えるんですよ。
「アンタ見てなさいよ。私達、タフなんだから」
と、忘れられない元カレに女二人で宣言しているように。
場面は続いて、「come on」の繰り返しでジャニスに肩を揺すられます。ぐわんぐわんなるクリスがかわいい。これは動画にて必見です。
ずっと明後日の方向を向いていたクリスは、この部分で初めて、ジャニスの方に向き直るんですよね。
そして何かを手渡しつつ(タオル?)(手編み?)(たしかにストールを羽織る彼女は、どこか少女趣味の面影があり、手芸が得意でもおかしくはない?)、照れたようにしきりに自分の顔を手で撫でる。
これ、萌えじゃないですか?
クリス、美しすぎるんですよ。
クリスについて考察してみるに、ライブ会場でストールを羽織っているのが奇異に思えます。
それもジャニスのライブで、ストール。羽織りますか? ストール。12月(推定)のライブのため、寒い気持ちもわかりますが。
彼女はノリもあまり良くないですし、ステージ上で困ったまま仏頂面をしています。
恐らく、友人か何かの付き添いで来たのかな?と思いました。
このヨーロッパツアー、「あのジャニスが新生バンド結成!」という感じで話題性があったはずなので、よく知らないけど流行りに乗って付き添いでみたいな客も多いと思うんですよね。ロンドンの最終公演は速攻でチケット完売してますし。
あるいは単純に騒ぐのが苦手だけど、ジャニスのことが本当に大好きだからライブ会場に来た。
後者もだいぶ魅力的な百合ですね。
ちょっとクリスがかわいすぎるきらいがありますが。
でも僕は前者であって欲しいんですよ。
その上で、ジャニスと思いっきり愛し合ってほしい。
だって、ジャニス・ジョプリン×百合って、ものすごく合います。
大学時代は一時期、本当に女性と交際していたようですが、スターになってからの彼女の話です。
ジャニスは傷だらけの女性でした。
常に男を追い求めていて、恋人は何人できてもどれも長く続かず、学生時代はいじめられていました。スターに成り上がり、同窓会に報道陣を引き連れて乗り込んだものの、全員がジャニスを無視した、というエピソードは映画『ジャニス・リトル・ガール・ブルー』でも凄惨に描かれています。
そんな彼女が、ライブ会場で偶然見つけた女性をステージに引っ張りあげて、「でも、あたしはまだあんたに見せたいのよ、ベイビー、女がタフになれるとこを」なんて腕に抱いて歌って、それなのに観客の女性が、誰かの付き添いで来たちっともファンじゃない人だなんて、報われないと思いますか?
だけど、そういう人間が、ジャニスのカップリング相手として一番グッとくる。
と言うのもジャニスって、ライブ中は最高のロックスターなのに、一度それが終わればただの孤独な女
というのを気に病んでいました。
そんな精神的に孤独な彼女だからこそ、ちっともファンじゃない女性とのカップリングが一番最高じゃないですか。
スターとしてのジャニスなんて興味ゼロの、ありのままの彼女を愛してくれる女性。
家に帰ってライブの打ち上げ話を語るのを、つまんなさそうな相槌で聞く女性。
「そんなことよりも。明日は暇なんでしょう?」
彼女と一緒のショッピングの方が、とびっきり楽しみな女性。
これです。
まあ あんまり知らないのに好き勝手書いて、間違っているかもしれませんが。
自分が産まれる前に死んでる人間の人格なんて、バイアスのかかったメディアでしか知りえないので、いくら知っても知った気にならなくないですか?
とりあえず、僕の中のジャニスは物凄く百合の似合う女性なので、いつか彼女がモチーフの百合を、『楽園』でお願いします。鶴田謙二先生。
鶴田謙二先生の描くジャニス・ジョプリンが見たいからです。あとクリスも。
なお今回取り上げた百合ライブですが、Amazonプライムビデオで見放題です。
「ジャニス」で検索すると出てきます。
問題の百合映像は1時間28分頃です。
舞台裏インタビューもライブ映像も高画質でありつけるもの。YouTubeの比じゃないね、これ。
また、ドキュメンタリー映画『ジャニス・リトル・ガール・ブルー』ですが、こちらは残念ながらプライムビデオ見放題対象外です。
300円でプライムレンタルできるので、1回ビールを我慢してレンタルすればいいと思います。酒飲んでじゃねえ、オタクの癖に
ところで、あの白い大判ストールの彼女は、ジャニスが27で死んだ日、どんな気持ちだったのでしょうか。
どんな表情だったのでしょうか。
その夜は何を食べたのでしょうか。
彼女の部屋には今でも、ジャニスの遺作『PEARL』が飾ってあるのでしょうか。
~fin~