僕は田舎在住の貧乏です。
田舎在住の貧乏なのですが、就活のために日々東京へ訪れるので輪にかけて貧乏になりました。
そのせいで水道が止まってしまい、水道代を払うことができないという最悪な底辺就活ライフを手に入れてしまいました。
蛇口を捻っても水が出ないというのは面白いモノで、時計回り反時計回りと繰り返し蛇口をひねり続けてゲシュタルト崩壊じみたものを引き起こし、どちらが「閉める」でどちらが「全開」なのか分からなくなり泣いています。
そんな貧困の日々で思い起こされるのは、ご注文はうさぎですか？の桐間紗路ちゃんです。
(参考画像、シャロちゃん)
同じく貧乏のシャロちゃんだって水道が止まって大変な日々もあるだろう、と考えることでなんとか心の平穏を保っています。
そこで今回は、僕のとある１日の生活を振り返りながら、それをシャロちゃんに置き換えることで「僕ってけっこう可愛い生活送ってるジャン」と悦に入ろうと思います。
夢と現の入り交じった貧乏人の戯言に付き合ってください。
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AM9:00 起床
地獄の１日が始まりました。夢の中ではなかなか楽しいこともありますが、目を覚まして「さて顔を洗うか」と考えた瞬間に水道が止まっていることを思い出して憂鬱になります。
思わず血反吐を吐くこともあります。
最近では眠りについても『水道が止まっているので友人の家で水道水を飲む夢』などを見始めたので、夢と現実のギャップは薄れつつあります。
とにもかくにも、女子高生(シャロちゃんなので)が顔を洗わないのは、乙女の不覚とするところ。洗顔の一つを欠いても美しい女子高生ライフは遠のくように思われます。「顔を洗わないシャロちゃんに興奮する」等と言うオタク達に愛されても仕方の無いことですからね。
その圧倒的コスパは歴然ですね。
その『長野水』を片手に洗面所に向かい、ペットボトルの水を手にあけて顔を洗います。
片手にペットボトル、片手で洗顔です。
こういう感じです。
顔を洗いながら「やっぱり長野水は最高ね」と呟いたりします。シャロちゃんなので。
しかし考えてもみてください。
僕は『長野の天然水』で顔を洗っているわけです。山奥に潜む秘境の川辺で顔を洗う狸かよ、という感じです。
これってものすごく高尚でかわいいことですよね。
AM10:00 洗濯
長野の天然水で顔を洗ったので心なしか肌に潤いが漲っています。
「今日もいいことありそう」とシャロちゃんみたいに内田真礼の声を出してみたりします。
しかしふざけている場合ではなく、散乱する衣服の山を見てはたと思い出します。「洗濯しなくちゃ！」
当然ながら水道が止まっていては洗濯をすることは叶いません。洗濯機は1回で35L程の水を消費しますので、長野水に置き換えると1700円相当になります。
それだけの水を買い求める金があるなら初めから水道は止まりません。なのでここは友人の家に洗濯機を借りに行くことにします。
舞台はラビットハウスへ移ります。
「すいません、洗濯機を貸してください……」
できるだけ申し訳なさそうな顔を作りましょう。
誠意を見せれば心は通じます。
「水道止まっちゃったんだ！それじゃあみんなで洗濯しよっか！」
やはり持つべきものは友。
誠意が通じました。
というわけで友達と一緒に洗濯をします。
洗濯をします。
洗濯をしているだけなのに不思議と友達が集まってきます。
皆で集まって洗濯するのは楽しいですね。
それは洗濯というよりも最早踊りでした。
皆が音楽に合わせて衣服の純白を取り戻します。
人の繋がりは偉大です。
本来面倒な洗濯という作業だって、皆が集まればこの笑顔。衣服と共に心が洗われるようです。
水道が止まっている人間も心の底から笑います。
水道と共に幸せも絶たれたかのように思われましたが、まだ笑うことはできるのです。
洗濯が終わった衣類は自分のアパートのベランダに干します。
流石に物干し竿まで借りるのは心苦しいですからね。
充実した午前中を過ごしました。
PM12:30 お昼ご飯
水道は止まっても空腹は止まりません。
浅ましく鳴り止まない生命の鼓動が食欲を掻き立てるのです。
仕方がないのでお昼ご飯を買いにコンビニに行きます。
なるべくお金をかけずにお腹いっぱいご飯を食べるということで、今回は『カップラーメン』を選択します。シャロちゃんですのでメロンパンを食べたいところなのですが、飲み水なしでメロンパンを食べると
こうなります。
さて、コンビニでカップラーメンを買うにあたって幾つか気をつけなければならないポイントがあります。
一つは『買い物をするついでにトイレを借りる』こと。
当然のことながら、水道が止まっているとトイレも流れません。従ってトイレは外部で借りる必要があるのです。
幸いなことに僕のアパートの目の前にはコンビニがあるので、いつでも利用することが可能なのですが、やはりコンビニという場所でトイレを利用しすぎると「また来たよあの貧乏……」と店員に顔を覚えられて、裏で「便所蝿」等と不名誉なあだ名をつけられることは必至です。
女子高生の桐間紗路ともあろうものが、汚名中の汚名を着せられるわけにはいかないので、乙女の慎みとして、少し歩いたところにある駅の無人トイレを借りるのが常です。
ですが、『お昼ご飯を買う』という大義名分のもと『トイレを借りる』というのであれば乙女の慎みの範疇。店員さんだって何も言いません。
話は逸れますが、トイレには基本的にタンクがついていますので、便宜上そこに水を入れればトイレは流れるわけで、『長野水』を蓄えればわざわざトイレを外に借りに行く必要はありません。
しかし、僕の見積もりではトイレを流すためには約20ℓもの水が必要となり、それを長野水で換算すると1000円もの大金がかかるので、オススメはしません。
コンビニでカップラーメンを買う際に気をつけなければいけないもう一つのポイントは『コンビニでカップラーメンにお湯を注いでおく』ということです。
言うまでもなく、家に帰っても『沸かす水』がありません。カップラーメンを買って意気揚々と家に帰ってから水がないことに気づき、流した涙をヤカンで沸かすという地獄になってしまいます。
コンビニには基本的にポットがありますからお湯はお借りしましょう。
気をつけることに気をつけて美味しいカップラーメンを作りましょう
PM1:00 休息
東京での就活は日々疲れるモノです。
田舎のアパートに帰ってきたら束の間の休息に浸りましょう。水道が止まっていて気は休まりませんが身体は休まります。
1.ベッドでごろごろする
スーツを脱ぎ捨てて、変なTシャツを着てベッドに寝転がりましょう。
昼間からベッドで横になるほど甘美な幸せは他にありません。
しかしその表情は苦悶に歪んでいます。
企業から続けざまに送られる『お祈りメール』と『止まった水道』に苦しんでいるのです。
みんなでシャロちゃんを応援してあげてください。
2.Twitterをする
人は、就活という時間の限られた境遇に陥ると、アニメを切り捨て読書もできず、ほとんどTwitterをするしかないという無趣味に突入します。
それならばと開き直って精一杯Twitterをやってやりましょう。ストレス発散です。
世紀末といえば1杯の水を求めて人々が殺し合うイメージありますけど、その点に置いてはもう僕のアパートから『世紀末』始まってますよ
— 紗々 (@sasatanwwwww) 2016年5月3日
僕「いつもぴょんぴょん可能」
— 紗々 (@sasatanwwwww) 2016年5月29日
止まった水道「……」
僕「楽しさ求めてもうちょっと」(家を出る)
4桁の預金残高「……」
僕「はじけちゃえ」(靴を脱ぐ)
書類選考で落とす大企業「……」
僕「いたずら笑顔でぴょんぴょん」(線路に飛び込む)
ミルク色の異次元(血に染まる)
『内定』と『泣いていい？』で韻が踏めるあたりから就活の影を汲み取れる
— 紗々 (@sasatanwwwww) 2016年5月15日
Twitterでも口を開けば『就活の闇』と『止まった水道』です。
それしか言ってません。
殺してくれよ。
頼むよ
3.お昼寝
本当に疲れてしまったら眠りましょう。
生きてることが嫌になっても目が覚めれば意外と大丈夫になっていたりします。
午後の時間はゆっくりと過ぎてゆきます。
PM5:30 アルバイト
東京での就活の合間を縫って田舎ではバイトをします。
時給は750円。5:30～10:00のバイトで3575円を稼ぐことができるのです。
しかしこの労働代金は東京への片道移動費で消失するので、そもそも田舎に帰ってこなければ安上がりなのでは？という話になります。最低ですね。
最低の現実をひた隠し、お客様には笑顔を振りまきます。
就活で使う作り笑いは、こうした日々の鍛錬の賜物なのです。
マジ死にたくなってきやがった。
心の底から笑いたいね。
PM11:00 お風呂
労働が終わったらお風呂タイムです。
水道が止まっているのに無駄に流してしまった汗と涙を、熱いお湯で洗い流します。
なお、お風呂に関しては昼間に洗濯機を借りた友達とは別の友達に借りるのが吉です。
あまり1人の人間に『水道負荷』を掛けては友情も停止してしまう可能性があります。
昼間はここあの家で洗濯をしたので、ここは千夜ちゃんにお風呂を借りるのが流れでしょう。できればリゼ先輩に借りたいところですが、そんな度胸はシャロちゃんにありません。
舞台はお風呂へ移行します。
「シャロちゃん水道止まっちゃったんだ」
「別に止まってないし……」
「甲斐性なし」
「甲斐性なくないし……」
「でも、たまには水道が止まるのも悪くない、ね？」
「べ、別に……悪くなくないし……」
いや、悪いよ。本当に最悪だよ。冗談も大概にしろよ。今すぐ水道代くれよ。秒で水道開通させてやるからよ。
普段はあまり語る機会のない友達と、ゆっくり語り明かして夜は更けていくのでした。
AM0:00 就寝
長かった1日も終わりです。
長野水で歯磨きをしたら駅まで歩いてトイレを済ませて就寝です。
ベッドの中に入ってしまえば水の有無は関係なく、ひっそりと耳をすませて隣の部屋のシャワー音を聞いては俳句を読んだりします。
壁越しに
シャワー流れる
水の音
風情です。
窓からは黄金色の月が覗いています。
田舎の夜空は、皮肉にも海の底から見上げる景色と似ています。海に透けて見える、陽の光のような月なのです。
もしもここが一面水だらけの海の底であるのなら、どれだけ困らないことでしょう。
僕の吐き出す嗚咽にも似た白い息は、泡の如くぶくぶくと浮かんで夜空に消えたのでした。
おやすみ
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というのが僕の1日でした。
なかなかかわいい１日でしたね。
殺せよ。
振り返って書いて気づいたのですが、どうやら僕は滅茶苦茶人に助けられて生きているらしいです。
洗濯もお風呂も皆友達頼みです。
恐らく友達のいない状態で水道が止まると干からびて死にます。
心の底から人との繋がりに感謝です。
いつからか当たり前になってしまった水と人。
忘れていました。
水と人の尊さ。
水と人の素晴らしさ。
ありがとう水。ありがとう人。
僕は感謝の心を胸に飛躍します。
当たり前の感謝を思い出すために。
水道、１回止めてみてはいかがでしょうか。
(当記事は水道料金の滞納を助長するモノではありません。全部シャレです)
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