『URAHARA』が終わりました。
全てに対して、終わりは平等だからです。
『URAHARA』はかわいいくて、とても好きだったのですが、見ているフォロワーのオタクは少なく、僕は毎日泣かされていました。
『URAHARA』を見ない傾向は、僕の周りだけではないようで、例えばすてらさんの実況ツイートにおいても、『URAHARA』のいいね!率は低いです。『ブレンド・S』の平均いいね!が40なのに対して、『URAHARA』は3です。
ここから先のタイムラインは、『URAHARA』を見ているオタク以外出禁です。壁を―見ていてください
— 𒀱紗々𒀱 (@sasatanwwwww) 2017年12月7日
『URAHARA』を見ろと言っても、壁を見ろと言っても聞かず、オタク達は頑なにTwitterを見つめ続けているのでした。その先には破滅しか待っていないと知らずに。
それなので、僕は一人で『URAHARA』の魅力を語り継いでいきたい。
10年後のニューヨークの一角。
とある薄汚れたパブで、僕は華奢な白人女性に、声をかけられます。
「ハァイ、オタク。ジャパンには飛びっきりクールなカルチャーがあるって聞いたんだけど。それって"Sushi"のことなの?」
ノンノン、Sushiなんてジャパニーズカルチャーの上澄みだよ。ホンモノにクールなカルチャーは、出雲大社みたいに出張ってない。田舎の道端の、寂れた神社のように、ひっそりとそこに"あって"訪れる人影を待っているのさ。
「オー、オタク。君はホンモノを知っているんだ。教えてよ、その名前を」
そこで僕はジョッキの中のとっておきを煽って、熱い吐息でこう答えるわけ。
「……Truth JAPANESE Culture is 『URAHARA』」
『URAHARA』の感情を書きます。
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結論から言うと、『URAHARA』の真髄は「スーパービーズねこちゃん」でした。
見てないオタクは全然分からないと思うので、そこに至るまでの思考を辿ります。
・ 『URAHARA』はかわいい
本当のところ、『URAHARA』は現代のSNSや、いわゆる"クリエイティブ"を風刺、追求した深(ふか)いアニメなのですが、僕が浅(あさ)いことしか言えないので、割愛します。
僕にとっての『URAHARA』は、KAWAIIだけのアニメなのです。
いくつかかわいい要素を抽出します。
・あらすじ
原宿。文化・オシャレ・カワイイが集まる街。
ある日地球に宇宙人がやって来て、人間が生んだ文化を奪い去っていってしまう。大好きな原宿を守るため、三人の女の子が立ち上がる。
かわいい。
細かいこと抜きに、宇宙人から原宿を守る!という時点で既にヤバいです。
原宿×宇宙人って……マジで馬鹿じゃないですか?
原宿がかわいいのは当然として、宇宙人だって、トマリン星人とか長門有希を見ればかわいいのは明白です。
(参考画像 長門有希)
ラーメンとステーキを一緒に食べたら美味しい、みたいなところが、『URAHARA』好きです。かわいい
・基本フロー
1.宇宙人が出る
2.宇宙人を倒す
3.倒した宇宙人がお菓子になる
4.それを食べる
倒した宇宙人がお菓子になって、それを食べるって……コテコテにかわいいですよね。
実質『フリップフラッパーズ』だと思います。
(参考画像 フリップフラッパーズ)
『風来のシレン』で、敵を包丁で倒すと「肉」になって食べられる場合がありますが、『URAHARA』は宇宙人を倒してお菓子を食べます。
『ご注文はうさぎですか?』では、おじいちゃんがウサギになりましたが、『URAHARA』はお菓子になります。
(比較画像 上 『URAHARA』 下 シャロちゃん)
オタクは生きても死んでも気味の悪い肉塊ですが、『URAHARA』は、生きていてもかわいいし、死んでもお菓子です。
(比較画像 上『URAHARA』 下 オタク)
『URAHARA』、圧倒的かわいいさ。
・あんまり読めないタイトルロゴ
『URAHARA』のタイトルロゴはかわいいです。
かわいすぎて難解になっています。
知らない人に読ませたら、恐らくこのアニメは「ム良タHタ良タ」だと思われるでしょう。
読みにくさが可愛さに直結するというのは、ギャル文字の文化で明らかです。
つまり『URAHARA』は、カゝゎレヽレヽ。
・アメリカみたいな台詞回しの女の子がいる
冒頭で「Truth Japanese Culture is 『URAHARA』」とか言っておいてなんですが、『URAHARA』の原作はアメリカの小説です。これは「Japanese Culture」と「Japan似非カルチャー」を掛けた高尚なジョークなので、真似してくれて構いません。
そのため?なのか分からないのですが、1人だけ完全に台詞回しが洋画の女の子が紛れ込んでいます。
それが、白子まりちゃん。
彼女の台詞だけが明らかにアメリカみたいなので、喋るたびに笑ってしまいます。
例えば、戦いが終わってみんなでポップコーンを食べるシーン。
「あぁ、柚子胡椒味のポップコーンでも食べながら『風と共に去りぬ』でも見たいわ」
登場するタイトルがアメリカすぎる。
今日日、「『風と共に去りぬ』でも見たいわ」と言うアニメのヒロインは彼女しか見たことがありません。
柚子胡椒の日本風味でも隠しきれないアメリカっぷりです。
別のシーン。
「そうね、その通りね。訳の分からない宇宙人に襲撃されてバブルに閉じ込められてこれからどうなるかも分からないなんてホント素敵な週末だわ。想像を超えるようなね!」
少しうまいことを言った風のアメリカ皮肉です。
ちなみにこの手の長々しいアメリカ台詞はテンポを欠いているため、彼女が喋ると時が止まったかのようで面白いです。
かわいいか分からないのですが、ここだけは言及したかったので無理やり詰めました。
………
以上、『URAHARA』は、わざとらしいくらいに、かわいいモチーフが溢れています。
アメリカの人が想像した日本のKAWAIIを全部混ぜて作り上げたKAWAIIのキメラです。
「りんご」ではなく「ケーキ」みたいなあざとさ。かわいいに触れすぎて脳が馬鹿になったオタクに、「これが"かわいい"だろうが」と、かわいさをマシマシにして提供する、かわいい界の二郎。
そういった自然でないかわいさが、『URAHARA』らしさだと僕は思っています。
・『URAHARA』、大丈夫?
そんなかわいい『URAHARA』 なのですが、不穏な影が3話の終わりから見え始めます。
何故か女の子の体に紫色の痣が浮かび始めるのです。
これ絶対にヤバいやつね
その不穏が爆発するのが、6話。
なんと、宇宙人がお菓子になったヤツを食べすぎて、3人とも宇宙人になっちゃったのです。
たしかに元の素材が宇宙人の"お菓子"ですから、体に良くない物質は入っていても"おかしく"ありません。お菓子だけにね笑 とかじゃねえんだよ、オラ、死ねよお前は。
キャプションからは全く深刻さが伝わりませんが、アニメ中の空気感はカルトです。『タオルケットをもう一度』に近いものがあると思います。
ここからの『URAHARA』は鬱具合が凄まじく、僕の心にトラウマを残していきました。
特に見ていられないのが
こういうところ。
具体的な説明は省略しますが、キャプションからも鬱そうな感じ伝わりますよね。
本当に辛くて、しばらく「お空きれい」しか言えなくなります。
こういった類の憂鬱な話が9話の途中まで続き、そのあとに一瞬希望を見せてくれるのですが、それを10話で再び絶望に突き落とす馬鹿さ具合には閉口です。
この期間の『URAHARA』は見ていて率直に嫌な気持ちが湧いてきます。
いや、『URAHARA』本当に大丈夫か?
『URAHARA』、FAKEアニメでは?
そうやって奇を衒った展開で自己満足するんだ、『URAHARA』は。
Twitterではそんなこと絶対に言いませんが、脳が、『URAHARA』のことを疑っているのです。
お願いがあります。
— 𒀱紗々𒀱 (@sasatanwwwww) 2017年11月23日
『URAHARA』を助けて
今だから懺悔しますが、こんなツイートしながら、「もう『URAHARA』は助からない」と半ば諦めていました。
『URAHARA』はかわいいっぽいだけのFAKEアニメ。「実質『フリップフラッパーズ』」とか言っていた自分が恥ずかしい。
そう思ってしまうのも、仕方の無いことでした。
しかし、それでも。
『URAHARA』のことを信じられなくなって、よく分からなくなったとしても、ただガムシャラに、『URAHARA』のことを見守り続けたオタクだけに、『URAHARA』は最高のスマイルを咲かせるのです。
(画像は『URAHARA』みたいな画像です)
・スーパービーズねこちゃん
主人公の少女3人組は、とっくに戦うための特殊能力なんて失って、仲間だと思っていた幼女の正体が宇宙人だと判明して、楽しい世界が全部妄想だったと知り、エビフライの化け物に襲われる始末の、ボロボロの最終話。
能力がないため、もはや少女達は逃げることしかできません。
狭い原宿の街では、いつか追いつかれてエビフライに殺されてしまいます。
エビフライの化け物というのはこれです。ヤバい
しかし『URAHARA』は、諦めていません。
EDで「バッドエンドなんて絶対 頑固拒否しちゃいたいのです」と歌う『URAHARA』は、希望に向かって進みます。
すると突然、正体が宇宙人だった幼女が光りました。
その胸に宿るのは、新たな特殊能力。
本来宇宙人は能力を使えないはずなのですが、少女達と過ごした楽しい日々が、幼女に能力を発現させたのです。
そして幼女は、エビフライに立ち向かいます。
なんとなく、"幼女の能力が作中で一番強い"、というイメージがあると思いますが、『URAHARA』はそうじゃありません。
幼女の能力は「巨大なビーズを出す」というだけのものでした。
ビーズを出したところで、「当たったらまあ痛い」位のものなので、でかい石をぶつけるのとほとんど同じだと思います。
人だったらそれで死ぬこともありますが、エビフライの化け物にはノーダメージです。
ですが、これは「でかい石」ではなくて、あくまで巨大な「ビーズ」なんですよ。
オタクはビーズを知っていますか?
ビーズで遊んだことがありますか?
心配なので解説すると、ビーズというのは穴の空いたキラキラのことで、女体のメタファーです。
紐で括ると「ブレスレット」になったり、「ネックレス」になったりします。凄い人はあらゆる形の"立体"を作れますが、僕は凄くないのでブレスレットしか作ったことがないです。
アイロンビーズとか流行ったよね…という話も書くと、脱線しすぎなので割愛しますが、
「ビーズは"立体"も作れる」
ここがNEXTコナンズヒントです。
ビーズは、当たると痛い、ただの石。
1粒1粒___だったらね。
それなら繋ぎ合わせちゃえ。
ビーズは、組み合わせればなんでも作れる魔法の石。
何にでもなれる、希望のかけら。
作っちゃおうよ。
エビフライを倒せる、圧倒的な"力"を。
作っちゃおうよ。
作っちゃおうよ。
"最高"のハッピーエンド。
最高に『URAHARA』らしくて、力強いKAWAIIってなんだろう。
答えは、でかい猫です。
「名前はどうしようか」
「"スーパービーズねこちゃん"がいいんですな!」
スーパービーズねこちゃん
スーパービーズねこちゃん!
これ、勝ち。
「スーパービーズねこちゃん」を見た瞬間、僕はわんわん泣いていました。
だって、ここまで『URAHARA』と等身大の最終兵器、ありますか?
キラキラで、かわいくて、あまりにも直球な名前の最高のねこ。
『URAHARA』=「スーパービーズねこちゃん」です。
途中で『URAHARA』を疑いました。
もう『URAHARA』はダメだと思いました。
それなのに、最終回は「スーパービーズねこちゃん」なんですよ。本当にかわいい、僕の信じていた『URAHARA』そのものなんですよ。
「スーパービーズねこちゃん、立ちがあれ!」という台詞がありました。
あの憂鬱だった『URAHARA』の日々から、『URAHARA』は立ち上がってみせました。
「スーパービーズねこちゃんを信じよう」という台詞がありました。
『URAHARA』は信じるその想いに応えて、信じるオタクを全て救いました。
こんなの、泣かないでいられるか?
『URAHARA』はホンモノの、"最高"だよ。
スーパービーズねこちゃんは、"マジ"の救いだよ。
僕達は。
『URAHARA』を。
スーパービーズねこちゃんを。
待っていたんだよ。
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…スーパービーズねこちゃんを。待っていたんだよ。
薄汚いパブなんてとっくに抜け出して、僕達はニューヨークの街に繰り出した。
『URAHARA』を語るには、酒の席ではかわいすぎる。
ネオンサインと街の喧騒が、丁度『URAHARA』の肌を心地よく撫でつけ、優しい音が立ち込める。
話を聞き終わった彼女は泣いていた。
……大丈夫?
「……ごめんなさいね。なんでもないの。せっかく聞かせてくれたのに」
……僕の方こそ、本当は少し泣きそうになった。
頑張っているのはアニメの中の女の子ばっかりでさ。僕は社会人の癖に何も出来ない。情けないよね
「……そんなことないわ。オタクは良い奴よ」
~fin~